IoTはすべての未来を変えていく。JICA「アフリカビジネスマッチング」の提案に見る代表・川崎が目指す世界

28056740 1632925656786143 1528900222511778264 n伊佐 知美

2018/02/20 17:00

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「データはすべてを変えていく」
「今、世界にないものだからこそ、そこには価値が生まれる」
「これから訪れるIoT(モノとインターネットがつながる世界の呼称)の未来の恩恵を、すべての人が受けられる世界にしたい」

エルソウル株式会社代表の川崎文武(以下、川崎)は、ITの力を駆使して、人の暮らしがよりよくなる未来を目指しています。

エルソウル株式会社の、代表取締役 兼 最高情報責任者の川崎文武

 

学生時代から海外・国内を旅し、世界中の人と言語を超えて交流してきた川崎だからこそ、ITの力を使って実現したいと思える世界がある。

この記事では、2018年2月20日(火)、横浜JICAにて行われた「アフリカビジネスマッチング」に川崎が登壇した事例を交え、エルソウル代表の川崎が見つめる世界について、説明します。

※当日の川崎のプレゼンテーマ:「IT data solutions for building safe and sound towns(健康で安全な街づくりのためのITデータソリューション)」

 

(文章・撮影:伊佐知美)

 


 

アフリカビジネスマッチングと、川崎の経験の交差点

 

アフリカビジネスマッチングとは、2017年4月に環境省とJICA、そして横浜市とアフリカ24か国が共同で設立した、アフリカの廃棄物問題の解決に向けた「アフリカのきれいな街プラットフォーム」の、日本における初めての活動である訪日研修の一環で行う会議のことです。

川崎は、以前から交流のあった株式会社 湾岸山下商事の山下良司さんの紹介で、この会議で登壇・プレゼンできることになりました。彼に与えられた大きなテーマは、「アフリカの産業廃棄物の現状改善」。エルソウルが持つITソリューションのノウハウを、アフリカという広い土地で、何か転用できないかという相談でした。

この問いを普通に解くと、なにせ主催がJICAですから、突拍子もないことは言えません。なぜかというと、これまでの会議の記録を追ったり、こういった国際交流の場の提案の定石を考えると、「設備投資・業務効率化」が正解に思えるからです。

 

 

けれど川崎は、登壇にあたってプレゼンテーマを根本から考えます。「既存の価値観に沿った『発展途上国への支援』としての『アフリカビジネスマッチングの提案』は、本当に意味があるのだろうか?」と。

そこで浮かんだ考えは、「そもそもアフリカで暮らす人々は、お金がないことに困っているのでは」という、自身の経験からの疑問でした。

じつは川崎は、学生時代から世界を旅し、アジアや北米、ヨーロッパなどで見聞を広めた経験があることはもちろん、20代の一時期は海外でビジネスを展開していたことがあるのです。そのため、「単なる支援は何も生まない」ということを、肌身に染みて知っていました。

「現金支援に近い、技術支援ももちろん意義があることは認める。けれど、それでは支援が途切れた時に、アフリカは何も生み出せなくなってしまう」

「まずはお金を自分たちで生み出せなければ、アフリカの暮らしは何も変わらない。人々の毎日が変わらなければ、環境も経済状況も、根本的には何も解決されないのでは?」

……そして考え抜いた結果、彼がプレゼンしたのが「A Life-Cycle of Monetizing Data and Town Development(都市と暮らしにおけるデータとお金の循環)」でした。

 

毎日動く「ごみ」の情報に、IoTの力を組み合わせたら、どうだろう?

 

 

 

産業廃棄物を日常レベルの視点で見たら、それは私たちが毎日吐き出している「一般ごみ」です。

日本と同じく、アフリカでも毎日ごみは業者によって集められます。けれどそのデータは、今世界のどこでも集められていないそう。

疑問を持ったら、試しにGoogleで検索してみましょう。「Africa Waste Data (アフリカ 廃棄物 データ)」と打っても「Africa Stench Data(アフリカ 悪臭 データ)」と打っても、検索結果には最新の正確なデータがヒットすることがありません。

けれど、たとえばごみ収集車にGPSとドライブレコーダーやセンサーを付けて、さらにGoogle Maps APIを使えば、毎日どの車がどの道を通って、何を集めているか、毎日まいにち詳細データを集めることが出来ます。天気もわかれば気候もわかる。道路の混み具合も、もしかしたら「事故や強盗に遭ってしまった」という状況も判別できるかもしれません。

 

 

「毎日アフリカを走る『ごみ収集車』に焦点をあて、もしそこにITの力が組み合わさったら、まったく新しい世界が見える」。「そしてそのデータは、今まで誰も集めたことがないからこそ、集めた際にはものすごい価値を持つ」。

価値を持ったら、そのデータは「売れる」のです。そしてデータが売れたら、アフリカは現金を手に入れることができます。

たとえば外国の飲食店が、アフリカに新規店舗を出店したいとき。どこのエリアの、どの道沿いがもっとも人々の暮らしが活発なのか?そこでは何が好まれて食べられているのか、何が、いの一番に捨てられているのか。

天気はどうか。気候はどうか。たとえば新しい旅行ツアーを組むとしたら、もっとも適したエリアはどこだろう?

そのデータには、いつか行政も助けられるかもしれません。治安維持、経済発展、環境保全……。「未だ誰も集めたことがない暮らしのデータ」は、未知だからこそ無限大の価値を持ちます。

それが「ごみ収集」という、すでに既存のシステムとして確立している「日々の業務」だからこそ、そこにITの力を乗っけるだけで新しい世界が見えるーー。それが今回、彼が導き出し、描いた「未来」でした。

 

 

 

 

当日のプレゼン結果は、期待していた以上の好反応。ナイジェリアや南スーダンなど主要な海外参加者だけでなく、国内の行政機関などの担当者の方も非常に興味深いと、エルソウルの個別ブースを訪ねて話をより詳しく尋ねてくださいました。その賑わいぶりは、設定時間を大幅に上回り、終了予定時刻を過ぎてもまだ尚話し終わらなかったほど。

今後は、JICAも交えてアフリカ諸国と実現に向けて協業していく見通しです。

 

 

これからのエルソウル株式会社とIoTの未来

 

今回の「アフリカビジネスマッチング」は、エルソウルにとってひとつの例に過ぎません。このように、エルソウルはITの力が世界をよりよく変えると信じ、様々な方法からアプローチを重ねています。

見つめたいのは、これからますます発展するといわれるITの力を日常レベルまで落とし込み、地球で生きるすべてのひとがその恩恵を等しく受けられる世界を作ること。

 

株式会社 湾岸山下商事の山下良司さんと、みなとみらいにて

 

壮大なことを言っているように思えるでしょうか? 私たちにそうは思えません。それは、来るべき世界を「誰が作るのか」という話だと考えているからです。

エルソウルは、2018年に「Google Cloud Platform(認定パートナー)」に選ばれました。日本国内にIT企業と名乗る会社は幾千あれど、Googleパートナーに選ばれるのはそのたった1%、一握りしか存在しません。

「その1%に該当するエルソウルは、今後ますます加速していく」と川崎は語ります。

 

左)取締役 兼 最高技術責任者の岸正太

 

「ITが、人間の仕事を奪っていく」と見るきらいも、今の世の中には存在します。けれど川崎は、「ITは人の未来に役立つもの」と信じます。

「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」。昔、ジュール・ヴェルヌがそう言ったように、彼が想像する未来は、いつか本当に訪れるのかもしれません。まずは「アフリカビジネスマッチング」の結果を楽しみに待っていてください。アフリカから進捗レポートを報告する日を、私たちも心待ちにしています。

 


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伊佐 知美

旅する『灯台もと暮らし』編集長、ライター、フォトグラファー。「#旅と写真と文章と Slackコミュニティ」主宰、世田谷の旅人シェアハウス「#えいとびたー」住人/世界一周ブログhttps://note.mu/tomomisa /三井住友→講談社→Wasei/書籍『移住女子(新潮社)』/連絡先isa@wasei-jp.com

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