Solanaトレードにおいて、平均レイテンシに注目しても桃源郷は見つからない話

Solanaトレードにおいて、平均レイテンシに注目しても桃源郷は見つからない話

2025.07.19
ERPCは多くのSolana高頻度トレーダーから厚い支持をいただいており、日々様々な技術的な質問をいただいています。最近特に増えているのが「速くするための技術的な方法を教えてほしい」というご相談です。
私達自身はトレーダーではなくソフトウェア開発者ですが、毎日寄せられる質問やお客様が求める0スロット(0ブロック)や約400ms以内のレイテンシに関する要望を技術的な観点から考えると、重要なポイントが見えてきます。
今回はその中でも、特に誤解されやすい「ping値」と「ストリーム」、そして「平均レイテンシ」に過度に注目することが、なぜ実際のトレードでの成功に直結しないのかについて、具体的に解説いたします。

Ping値は理想値でしかない

まずping値についておさらいしましょう。ping値とは理想的な通信速度であり、単純なネットワークの距離や最小の遅延を表す数値です。
  • 同一ネットワーク内:約0.1ms
  • プライベート接続(PNI):約0.2ms
  • 同一データセンター:約0.3ms
  • 同一都市:約1ms
  • 隣国:約5〜10ms
  • 大陸間:約100〜300ms
このping値はあくまで理想的な通信環境での数値であり、実際のトレードで使用するgRPCやShredStreamなどのストリーム通信ではこの速度は達成できません。

ストリーム通信ではping値の約5倍の遅延が発生

gRPCやShredStreamのようなストリーム通信はTCPプロトコルを使用します。TCPプロトコル自体のオーバーヘッド(追加コスト)により、単純なping値に比べ約2倍の遅延が発生します。さらに、実際の通信ではコネクションの確立やデータ処理などが必要となり、現実的にはping値の約5倍の遅延となるのが一般的です。
例として、大陸間のping値が100msの場合、ストリーム通信の現実的なレイテンシは約500msとなります。これはゼロスロット(0ブロック、約400ms以内)を狙うトレードにおいてはすでに現実的ではありません。

なぜ平均レイテンシ200~300msを探しても見つからないのか?

多くのトレーダーはSolanaのブロックタイムが約400msであることから、「200~300msの平均レイテンシのgRPCストリームを探せばゼロスロットで勝てる」と誤解しています。しかし、現実の通信環境を考えると、この数値を安定して達成することは非常に困難です。
この原因は主に以下の2つです。
  • Solanaのブロックタイム計測が秒単位であるため、計測方法自体が不正確になる
  • 物理的距離やTCP通信の性質上、理想的な平均レイテンシは実際には実現困難

勝つトレーダーは「平均レイテンシ」に注目していない

興味深いのは、実際に利益を上げているトレーダーほど「平均レイテンシ」について言及しないという点です。勝ち続けているトレーダーは、そもそもSolanaのブロックチェーンの仕組みを理解し、技術的な正確な知識を基に、トレード戦略を構築しています。

勝利の鍵は「Solanaのリーダースロットの地理的把握」

トレードで勝つために重要なのは、平均レイテンシを追求することではありません。最も重要なのは、Solanaのリーダーバリデータがどこでスロットを生成しているかを理解し、その地理的条件を活用することです。
例えば、フランクフルトにサーバーを構えながらアメリカで生成されるスロットに参加しようとするのは根本的な誤りです。現実の証券取引でも、ニューヨーク市場で取引するためにヨーロッパにサーバーを置くトレーダーは勝ちにこだわっているとは言えません。

実際の最適化は非常に複雑

実際に勝っているトレーダーは、以下の要素を複合的に最適化しています。
  • Solanaのリーダースロットスケジュールの把握
  • リージョンごとに最適化されたインフラ構築
  • 専有ノードの利用
  • 高性能ハードウェア(ベアメタルサーバー、最新CPU、RAMなど)の採用
  • ネットワークの物理的距離の最小化
強いトレーダーほど、これらすべての要素を細かく最適化し、全体的な技術インフラを構築しています。

ERPCの役割

ERPCはこれらの複雑な技術的要件をクリアできる環境を提供するため、日々研究開発を行っています。私達はお客様が真に必要とするソリューションを提供するために、常に新しい技術的改善を行っています。
今後も皆さまのトレード環境の改善に役立つ情報を積極的に提供し続けます。
引き続きERPCをよろしくお願いいたします。